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【1】DPP-4阻害薬について
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インクレチン(Incretin:Intestine Secretion Insulin)は
腸管から分泌され、膵β細胞に作用してインスリン分泌促進する物質で、
前回紹介したGLP-1やGIPが知られています。
しかし、分泌後すぐにDPP-4(Dipeptidyl peptidase-4)により分解され、
効果を維持でません。
そこで分解を阻害するDPP-4阻害薬が開発されています。
DPP-4阻害薬はインクレチンの分解を阻害するだけではなく、
インスリンの分泌を促したり、膵β細胞保護作用も知られていて、
肥満を防いだり副作用が少ないなど、多くの利点があります。
GLP-1受容体作動薬が皮下注射であるのに対して経口投与剤です。
『参考文献:【IFA_128】~【IFA_131】』
現在日本で承認されているものには、
大きくシタグリプチン(Sitagliptin)と
ビルダグリプチン(Vildagliptin)があります。
最近アログリプチン(Alogliptin)が発売されました。
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【2】DPP-4阻害薬の開発動向
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1.シタグリプチン
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商品名としてはジャヌビア錠と、グラクティブ錠が
2009年8月に承認され、12月より発売されています。
審査結果報告書は医薬品医療機器総合機構の
ホームページで見ることができます。
『参考文献:【IFA_132】』
海外で行われた第III相試験ではHbA1cの
有意な低下が見られたとされています。
『参考文献:【IFA_133】~【IFA_134】』
日本では文献5番で引用している報告書が第III相試験に該当しますが、
第II相試験ではやはりHbA1cの値を1.05%低下させたという有効性が
示されています。
『参考文献:【IFA_135】』
ただ、発売後SU(スルホニル尿素)薬にシタグリプチンを追加投与した後に
重篤な低血糖を起こした症例が報告され、
2010年4月に日本糖尿病学会
「インクレチンとSU薬の適正使用に関する委員会」より
「SU薬ベースで治療中の患者でシタグリプチン・ビルダグリプチンを
追加投与する場合に、SU薬は減量が望ましい」などの
注意喚起が行われています。
『参考文献:【IFA_136】』
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2.ビルダグリプチン
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商品名としてはエクア錠が発売されています。
2009年1月に日本における第III相試験が終了し、
『参考文献:【IFA_137】~【IFA_138】』
医薬品医療機器総合機構より12月に承認されています。
『参考文献:【IFA_139】』
シタグリプチンとは異なり、肝臓で代謝されるため、
投与の際には肝機能障害等の有無などに
注意しなければならないとされています。
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3.アログリプチン
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ネシーナ錠が2010年4月に承認され、
6月15日に発売が発表されています。
DPP-4に対する選択性が高く、1日1回の投与で効果を発揮するほか、
α―グルコシダーゼ阻害薬との併用が唯一可能な薬剤であることが特徴です。
『参考文献:【IFA_140】』
2型糖尿病治療薬インクレチン
2 DPP-4阻害薬