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【1】潰瘍性大腸炎について
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潰瘍性大腸炎は、
大腸の粘膜に起こる原因不明のびまん性非特異性炎症で、
クローン病と併せて炎症性腸疾患(IBD)と呼ばれています。
いずれも治療が難しいところから、
医療費が公費負担助成の対象となる
特定疾患(難病)である56疾患の1つに指定されています。
患者数は、
潰瘍性大腸炎が10万人、クローン病が3万人といわれています。
これまでは、5-ASA(5-アミノサリチル酸製剤)や
ステロイド剤、免疫抑制剤などが主たる治療薬でした。
近年、新たな治療薬の開発が続いています。
『参考文献:【IFA_234】~【IFA_237】』
TNF-α(Tumor Necrosis Factor:腫瘍壊死因子)が病態形成に
重要な役割を果たしていることが明らかとなり、
これを抑制する抗体を治療薬として使用することが認められています。
『参考文献:【IFA_238】~【IFA_239】』
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【2】インフリキシマブ(Infliximab)
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インフリキシマブはサイトカインの一種である
TNF-αに対するキメラ抗体で、
75%がヒト、25%がマウス由来の生物製剤です。
TNF-αを産生する免疫担当細胞に結合し、その活性を抑制します。
当初、抗リウマチ薬として登場し、
1999年に米国で、翌2000年にはヨーロッパで認可されています。
日本では2003年7に関節リウマチ薬として保険適用を認められたが、
それに先立つ2002年1月にクローン病の治療薬として認可されています。
2005年に米国やカナダ、ヨーロッパの多施設で、
潰瘍性大腸炎に対する効果や安全性の臨床試験が行われ
(ACTI、ACTII試験)有効性が示されました。
『参考文献:【IFA_240】』
これを受けて、米国FDAでは
2005年に潰瘍性大腸炎への適用を承認しました。
日本では、インフリキシマブは2010年6月18日に
潰瘍性大腸炎の治療薬として効能追加が承認され、
レミケード点滴静注用100として販売が認められています。
『参考文献:【IFA_241】』
特にステロイド剤に抵抗を示す中等度から重症の症例に適用され、
寛解の効果と寛解維持の効果がすぐれているといわれています。
インフリキシマブの副作用に関しては、
不顕性結核の再活性化が知られており、投与にあたっては
アレルギーの有無や既往歴などの確認が必要であるとされています。
『参考文献:【IFA_242】』
インフリキシマブは、炎症性の疾患には広く適用があり、
関節リウマチの他に乾癬やベーチェット病による
難治性の網膜ぶどう膜炎などの治療薬として使用されています。
潰瘍性大腸炎に対するTNF-α抗体による治療 Part.1