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【4】開発の急がれる分野
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前回のPart 1でもご紹介したように、投薬管理の難しい抗凝固剤である
ワルファリンに代わる、新たな抗凝固剤が求められています。
大きく、抗トロンビン薬やXa因子阻害薬などがあります。
『参考文献:【IFC_022】~【IFC_024】』
これらの最大のメリットは、食物の影響が少ないことで、
納豆や野菜のようなビタミンKの含まれているものも
食べられるようになることです。
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【5】アルガトロバン(Argatoroban)
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アルガトロバンは、アルギニン誘導体で、トロンビンに対する
酵素阻害活性がきわめて高い特異的抗トロンビン薬です。
日本で開発された薬剤で、国内での臨床試験を経て
(Clinicaltrial.govの登録番号 NCT00198588)
2008年7月にヘパリン起因性血小板減少症(HIT)の治療薬として
追加承認されています。
海外では2000年に米国で承認されて以来10ヶ国で認められていましたが、
HIT治療薬としては国内唯一のものとして承認されました。
また、点滴静注で使用する点、
経口投与のワルファリンとは異なっています。
『参考文献:【IFC_025】』
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【6】リバロキサバン(Ribaroxaban)
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リバロキサバンは抗Xa因子阻害薬で、一日一回の経口投与が股関節、
膝関節全置換術後の静脈血栓塞栓症の予防に効果のあることが
知られています。
これはRECORD1,2,3と名付けられた
大規模臨床試験により示されたものです。
『参考文献:【IFC_026】』
この結果から、2008年に欧州及び米国で承認されています。
その後、2010年11月に開催された、米国心臓学会(AHA)の年次総会で
ワルファリンに比べて脳卒中の発症を有意に低下させるという
大規模臨床試験(ROCKET AF)の結果が報告され
(Clinicaltrial.govの登録番号 NCT00403637)、
心房細動による脳の血栓塞栓予防に効果があることが示されました。
『参考文献:【IFC_027】』
日本でも第III相の臨床試験が実施されています。
(Clinicaltrial.govの登録番号 NCT00494871)
『参考文献:【IFC_028】』
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【7】その他のXa因子阻害薬など
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経口のXa因子阻害薬としては、エドキサバン(Edoxaban)や
アピキサバン(Apixaban)などが開発中です。
前者ではすでに整形外科分野では第III相の臨床試験を終了し、
現在は日本を含む多国籍の臨床試験が実施されています。
(Clinicaltrial.govの登録番号 NCT00986154)
一日一回の経口投与が可能で、
静脈系の血栓症への効果が期待されています。
『参考文献:【IFC_029】』
後者のアピキサバンは、前者同様整形外科領域では効果が示されており、
静脈系への効果について第III相試験が実施されています。
(Clinicaltrial.govの登録番号 NCT00643201)
『参考文献:【IFC_030】』
また可逆的なP2Y12阻害薬である抗血小板薬プラスグレル(Prasugrel)、
タイクグレラーやプロテインC介在型抗凝固薬である
トロンボモジュリンアルファなども開発中です。
新しい抗凝固剤 Part.2 ~ワルファリンに代わる新しい抗凝固剤~